「ビルトインコンロを替えたいけど、種類が多すぎて何から見ればいいか分からない」。この相談、現場で本当によく受けます。
わたしはガス会社に15年以上勤めている、現役のガス屋です。お客さんのコンロ選びに立ち会ってきた経験から言うと、見る順番さえ間違えなければ、コンロ選びは5ステップで終わります。
この記事では、その5ステップと、タイプ別のおすすめ機種をご案内します。読み終わるころには「自分はこの機種を詳しく見ればいい」まで絞れますよ。
賃貸にお住まいの方へ
ビルトインコンロの交換はガス工事が必要で、備え付けの設備は大家さんの持ち物です。勝手に交換できないので、不調なら管理会社へ連絡を。自分で買い替えられるのは据え置きのテーブルコンロです(高機能なら[ラクシエのレビュー記事]をどうぞ)。
ビルトインコンロの選び方5ステップ
先に全体像です。上から順に決めていけば迷いません。
- 天板の幅を測る(60cmか75cm)
- 天板の素材を選ぶ(ガラストップかそれ以外か)
- グリルと自動調理をどこまで使うか決める
- 価格帯(松・竹・梅)を決める
- ガスの種類を確認する(都市ガスかプロパンか)
順番に見ていきましょう。
Step1 天板の幅を測る
ビルトインコンロの天板幅は、主に60cmと75cmの2種類です。
- 60cm:コンロ横に調理スペースを広く取りたい人向け
- 75cm:鍋を3つ並べても余裕。見た目もゆったり
大事なポイントをひとつ。今60cmの家が75cmに替えることもできます(逆も可)。本体を差し込む部分の寸法は共通で、75cmは天板が左右に少し張り出す形になります。ただし横の壁まで余裕が必要なので、注文時に「75cmに替えられるか」を確認してください。「今と同じ幅しか選べない」と思い込んでいる方が多いのですが、条件が合えば替えられます。
(各機種の天板がどのタイプかは、下のレビュー記事で確認できます。幅の詳しい話は[天板幅60cmと75cmの違いの記事]もどうぞ)
Step2 天板の素材を選ぶ
天板は掃除のしやすさと見た目を左右します。大きく分けると2つです。
- ガラストップ:透明感があってきれい。サッと拭ける。上位〜中位機種に多い
- ガラスコート・パールクリスタルなど:透明感は控えめだが、丈夫で価格が手頃
現場の本音を言うと、天板の透明感にこだわらないなら、普及帯の天板で普段使いには十分です。毎日ピカピカに磨き上げたい方、キッチンの見た目重視の方はガラストップを選んでください。
(天板の種類ごとの強さは[天板の種類と特徴の記事]で実験もまじえて解説しています)
Step3 グリルと自動調理を決める
ここが価格差の一番大きな理由です。上位機種ほど「コンロが勝手にやってくれること」が増えます。
- 自動調理・アプリ連携:火加減も時間もコンロ任せ。共働き・子育て世帯の時短に効く
- 専用調理器(ココットプレートなど):グリル庫内を汚さず焼き物ができる
- シンプル機能:点火・消火と安全装置だけで十分、という人も実際多い
ちなみに、いま売られているビルトインのグリルは水なし両面焼きがほぼ標準です。「魚をひっくり返さなくていいグリル」は、もう特別な機能ではありません。
自分が「コンロに働いてほしい人」なのか「火がつけばいい人」なのか。ここを正直に決めると、あとで後悔しません。
Step4 価格帯を松・竹・梅で決める
リンナイのビルトインを例にすると、価格帯はきれいに3段階に分かれます。現場でお客さんに説明するときも、この松竹梅で話しています。
| 格 | 機種 | どんな人向け |
|---|---|---|
| 松 | デリシア | 最上位。自動調理・アプリ連携をフルに使い倒したい人 |
| 竹 | リッセ | 中位。きれいな天板と十分な機能のバランス型 |
| 梅 | マイトーン | 普及帯。天板の透明感にこだわらない普段使い |
価格の目安を挙げておきます(すべてメーカー希望小売価格・税込。実売は工事費込みでずっと安くなります)。
- デリシア:45万円前後の型番例あり(RHS71W31E13VCASTW=税込455,180円)[出典:リンナイ正規販売店 2026-07-07確認]
- リッセ:27万円前後から(60cm標準幅=税込270,600円)[出典:リンナイ公式 2026-07-07確認]
- マイトーン:メーカー公式に希望小売価格の掲載がないため、最新価格は[マイトーンのレビュー記事]の商品カードで確認してください
現場で15年見てきた感覚を正直に言います。
デリシアを指名買いした人の満足度は、めちゃめちゃ高いです。その一方で、「とにかく一番いいのを」と深く考えずに買った人の中には、機能が多すぎて持て余す人もいます。
そして、デリシアの高機能を使わないなら、リッセで十分。これも現場の正直な感覚です。
機種ごとの詳しい本音レビューは、それぞれの記事にまとめています。
- [デリシアの本音レビュー記事]
- [リッセの本音レビュー記事]
- [マイトーンの本音レビュー記事]
Step5 ガスの種類を確認する
最後に必ず確認してほしいのがここです。
同じ機種でも、都市ガス用とプロパン(LPガス)用は別の商品です。間違えると使えません(危険です)。
検針票か、家の外のボンベの有無で確認できます。ボンベがあればプロパン、なければ都市ガスです。注文時に必ずガス種を伝えてください。
注文前に確認したい注意点2つ
5ステップの外で、現場でよくつまずくポイントを2つだけ。
下にガスオーブンがある家は同メーカー限定
コンロの下にガスオーブンが組み込まれているお宅は、コンロもオーブンと同じメーカーから選ぶ必要があります。接続部分の規格がメーカーごとに違うためです。
オーブンが入っていない(引き出し収納など)お宅は、どのメーカーでも自由に選べます。まずキッチンの下をのぞいてみてください。
安全装置はどの機種にも標準装備
「安いコンロは危なくないの?」もよく聞かれます。心配いりません。
2008年10月以降に作られた家庭用ガスコンロは、全部のバーナーに調理油の過熱防止装置と立ち消え安全装置の搭載が義務になっています(これらを備えたコンロが、通称「Siセンサーコンロ」です)。安い機種でも安全面の土台は同じ。価格差は安全性ではなく、便利機能と天板の差です。
タイプ別おすすめ早見表
5ステップを踏まえた、現場のガス屋としてのおすすめです。
- 高機能を使い倒したい・料理が好き → デリシア(松)
- 機能と価格のバランス重視 → リッセ(竹)
- 天板の透明感にこだわらない・普段使い → マイトーン(梅)
- ビルトインが入れられない・でも高機能が欲しい → テーブルコンロの[ラクシエ](最上位モデルは見た目も機能も十分。ネックは価格)
メーカーで迷っている方向けにひとつ。家庭用ビルトインは、リンナイ・パロマ・ノーリツの3社でほぼ全部です。現場の客層を見ていると、価格重視の人はパロマ、デザイン性・ブランドの安心感重視の人はリンナイを選ぶ傾向があります。パロマはお手頃でも品質に問題はないので、細かいこだわりがなければ十分満足できますよ。
【Q&A】ビルトインコンロ選びのよくある質問
交換の工事費はいくらくらいですか?
本体とセットの「工事費込みプラン」で頼むのが一般的です。金額は機種と地域で変わるので、必ず見積もりで確認してください。本体と工事を別々に手配するより、セットのほうがトラブルが少ないです。
自分で交換できますか?
できません。ビルトインコンロの交換はガス接続を伴うため、資格を持つ業者の工事が必要です。
工事にどれくらい時間がかかりますか?
コンロ下が収納庫の単純な入れ替えなら、当日1〜2時間程度が目安です[出典:交換できるくん公式・標準的な入れ替えは約1時間、2026-07-07確認]。ガスオーブンが付いている場合はもう少しかかります。半日仕事にはなりませんが、在宅は必要なので時間に余裕のある日に頼んでください。
2口と3口、どちらを選べばいいですか?
いま売られているビルトインは3口が主流で、機種の選択肢も3口が圧倒的に多いです。「2つしか使わないから2口」と絞ると、かえって選べる機種が減ります。迷ったら3口で問題ありません。
今のコンロが何年使えるか分かりません
交換の目安は10年です。理由と買い替えサインは[ガスコンロの寿命の記事]にまとめています。
IHにするか迷っています
IHとの比較はこの記事では扱いませんが、ガスからIHへの切り替えは電気工事も必要になります。「ガスのまま新しくする」ほうが工事は手軽です。
【まとめ】ビルトインコンロ選びは5ステップ
- 選ぶ順番は幅→天板→機能→価格帯→ガス種の5ステップ
- 60cmと75cmは据付部が共通。条件が合えば幅は替えられる
- 価格差の正体は「自動調理をどこまで任せるか」
- 松=デリシア/竹=リッセ/梅=マイトーン。高機能を使わないならリッセで十分
- 都市ガス用とプロパン用は別商品。注文前に必ず確認
- 下にガスオーブンがある家は、同じメーカーからしか選べない
ここまで絞れたら、あとは気になる機種のレビュー記事で「悪い点」まで確かめてから決めてくださいね。


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